国産ラムに見るものづくりの姿

日本のものづくりへの探求心と実現力、さらにいえば、その先の自分が見えない場所で、どれだけ笑顔が広がるかへの、責任感と喜び。
「日本の、新しい、クリアな、ラム。」
滋賀・音羽山系の長石に磨かれた心まで優しくなれそうな軟水と沖縄多良間島産の黒糖から生まれた…という情報は公式サイト也で見ていただきたいのだけれど、なによりも、この国産(本州で蒸留されるという試み)ラムの素晴らしさは、ここに日本のものづくりへの情熱が込められていることなのではないかと思う。

ラムメーカーの竹内さん、たった一人の蒸留所。蒸留から発酵、ボトリングに、ラベル貼りまで一人で行う。2011年の最初の試作品は、それはもうひどいものだったと語る。それから3年。試行錯誤の末にたどり着いたラムは…

というラム自体のレビューは後程として、竹内さんの「狂気」は、製造業からの転身ということだ。実は竹内さんの曽祖父は、今や世界の大企業となった某自動車メーカーの部品下請けのパイオニア。まだ町の名前がその某自動車会社の名前になる前の、古の地名だったころ、つまりはこの先どうなるかわからない産業へ、その会社の意気を強く感じてその道に踏み込んだのだという。それから4代、結局その血は受け継がれているわけだ。

情熱と狂気。しかし、竹内さんの語り口と、このラムはどこまでも穏やかで優しい。ホワイトラムではなく、まさにクリアラムという、カラー。静かな小さな湖面、いや、森の奥の泉にきらきらと朝日が、静かに反射して微笑む。そんな風景。口当たりの柔らかさ、まろやかさ。だが、そのあとに繰り出されるレイヤーは、狂気のスパイス感と、におい立つ黒糖のパンチ。黒糖焼酎の独特の甘みとスパイスをたっぷり感じた後は、クリアなカラーが嘘のように喉を一筋の焼けた棒がすっと忍び込んで、一気に胃に落ちる。そのインパクトの後に訪れる凪の海の様な静かな余韻…

ひとつかみの大ぶりの氷のロックアイスをグラスに入れると、より柔らかくその一連が繰り返される。トップバーテンダーのインスピレーションは、グレープジュースとトニックウォーターのソルクバーノと、ラムの定番カクテル、キューバリバーをもじったキューバリーヴズ。強すぎると感じた黒糖が控えめに微笑んで、すっきりと、しかし、軟水に包まれたスパイスとエキゾチックがさわやかに香る。

まだ3年目、一人での作業。理想とするものにはまだ道のりは遠いかもしれない。このお目見えラムも完全に融合しているわけではなく、わかりやすくレイヤーが飛び出して来る楽しさのほうが強い。だからこその期待感。ものづくりにかけたファミリーの情熱の血が、この先どれだけのラムを創っていくのか。

ナパで仕入れたフレンチ&アメリカンオークから、ゴールドタイプもリリース予定。まだ初回ロット3000本の小さな小さな国産ラムへの期待感は、かなり、大きく、強い

Craftsman ship to watch to JAPANEES domestic RUM

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