10月27日、台風が過ぎ去って、心地よい秋の日となった日曜の午後。
中近東ワイン専門webショップ『ANCIENT WORLD』の田村さん、レバノンワイン、オリーブオイルなどを取り扱う『Vins d'Olive Asme』のスヘイルさんのご協力を得て、地中海限定でのロゼワイン会というちょっとユニークな会を開きました。
イタリア・ベネチア、フランス・ラングドック、チュニジア、ギリシャ、トルコ、レバノン、イスラエルから、少し黒海に入ってブルガリアとロゼの泡から甘口ローズワインまで。ズラリと並ぶと、ロゼと一口に言っても白に近いものから、サーモンピンク、ローズを抽出した様な濃いもの、オレンジがかったゴールド系など実に多彩なカラー。このカラーバリエーションもロゼワインの魅力の一つでしょう。
お味の方も、様々で軽やかな果実味、厚みのある余韻、ミネラルとアルコールが直線的に来るものなど、様々で、10人の参加者の皆さんの好みも分かれていました。共通しているのは、エクゾチックさ。地中海の青い輝きと風が、どこか旅心をくすぐる。その時間帯が午後であったり、朝であったり、トワイライトであったり、夜だったり…風景が浮かぶワインたちでした。
10月22日、ユビフランス(フランス大使館企業振興部)主催による、フランス南西(シュッド・ウェスト)地方のテイスティングランチとセミナーに参加。ランチで6種、セミナーで12種、アペリティフのフリーテイスティングで8種。場所はベージュ東京。
南西部ワインの特長は多様性。
それを改めて実感する機会だった。
南西部の中心都市はトゥールーズ。日本ではワイン好きよりもスポーツ好きに、その名は印象深いかもしれない。日本が初めて戦ったワールドカップ、98年6月14日、アルゼンチンに惜敗したゲームの舞台となった。ラグビー好きの僕はといえば、スタッド・トゥール―ザン。欧州ラグビー最高峰を決めるハイネケンカップ4度優勝の金字塔。国内選手権最多19度の優勝。フランス国内でもサッカー以上の人気を集めるチーム。その強さは、常に進化する姿勢と選手構成の多様性だったようにも思う。
南西部のワインといえば、世界的なブランドは『カオール』。ヴァン・ド・ノワール(黒いワイン)とも呼ばれる力強い赤ワイン。さらに、香気溢れるブランデー、アルマニャックといったハードリカーも著名。となれば、どうしても力強いお土地柄、というふうに感じたりもする。
しかし、カオールやアルマニャックをとっかかりにして、その扉を開いてみると…それらは南西部の特徴の一部でしかなく、むしろ異形であり、多様性のエッジの部分であることがわかる。
例えば口当たりがどこまでも繊細でやさしい、AOPフロントンのロゼ。ドライではっきりとした酸味が、ほのかな甘みを伴って癒してくれるAOPサンモンの白。漢方薬のようなハーブがボディに溶け込んで心地よく香り、最後までやさしさをまとうAOPガイヤックの赤…。そこに広がるのは、心にすーっと沁み込むような、官能的というよりはむしろ、素朴で健康的な笑顔と、静かな時間。
こうした共通の特徴は見えてくるのだが(カオールも実はじっくり飲むと同じような優しさが表れてくる)、これらを生み出しているのが「多様性」だ。
まず地勢でいうと、南西部は、フランスの中でも大西洋と地中海、両方の影響がある地域だ。地図を見れば左上からはボルドーのような大西洋の影響、右下を見れば、ラングドックのような地中海の風がある。さらに、西側はピレネー、東側は中央山岳。ピレネーからの冷涼な風、中央山岳からの風、それが2つの海と交錯していく、という実に多様な中にある。
土壌も、粘土石灰質、酸性攘土質、砂利質、砂土質、石灰砂岩と多様。南西部はこれに2つの海と2つの山というファクターが加わり、より多様性を増している。
そしてブドウ品種だ。南西部で栽培されるブドウは約300種で、そのうち120が土着(ローカル)品種だという。
南西部が生み出した海洋性セパージュ(国際品種と言い換えてもいいだろうか)は、カベルネ・フラン、メルロー、タナ、マルベックなどがある。一方で土着品種としては、
赤ワインのネグレット、デュラス、フェール・セルバドゥ、
白ワインのコロンバール、モーザック、マンサン、バロック、ロワン・ドゥ・ルイユなどが代表的。
あまり日本でお目にかかれない品種が多い。
これらの多様性をもった環境で、これも日本ではあまり知られていない21のAOPと14のIGPの中でワインが生み出される。カオールはこの中のたった1つのAOPに過ぎないのだから、カオールだけ見て南西部全体を語るわけにはいかない。
セミナーで講師を務めた石田博ソムリエが語ったことは象徴的だった。
「極端に言えば、ブルゴーニュなら、シャルドネとピノ・ノワールの2種をテイスティングしてもらえれば、ブルゴーニュについて語れることは多いのですが、南西部はそうはいかないんです。12種テイスティングしていただいても、まだ、南西部を語ったとはいえないかもしれません」
セミナーでの12種類は確かに多様で、そのキャラクターをつかむことでまず精一杯だった。それぞれのブドウの特徴をつかむのも大変。だが、その多様性に触れるごとに、楽しくなってくる。どのワインも、とにかく優しい口当たりで、飲む人を迎え入れてくれるのだ。少しずつ力強さと、赤ならタンニン、白なら酸味がじわじわとくるのだけれど、攻撃的ではない。どうだ!という圧力もない。多様性が生み出したものは、包容力なのだろうか、という錯覚。
美食とスポーツと学問の街として多くの外国人を受け入れ、人口比で10%近くが外国人というトゥールーズの多様性と抱擁力。南西部ワインはこれに象徴されるように、多様な状況、環境を受け入れ、その多様性を生かして作られている。テロワールという言葉をどこまで範囲を広げて定義づけるか、という議論はあるけれど、南西部ワインにおいては「多様性」こそ、テロワールなのかもしれない、とも思う。
なによりも優しいと感じるのは…これだけ語りどころのある美味いワインが、安い、ということだ。2000円~4000円の間で、これぞ、というワインが盛りだくさんに見つかる。まだ日本未入荷のワインも多いけれど、ビストロ(トゥールーズはビストロ料理が豊富だ)で見つけたら、南西部ワインもオーダーリストに加えていただきたい。
その南西部ワインを堪能できるチャンスは
11月20日(水)~12月3日(火)まで行われる、
『ジュルネ・デュ・ヴァン』~フランスワインを料理と楽しむOTOKUな2週間
で。
都内114軒の参加店舗で、グラス700円、または1000円~楽しめる。
詳細は、公式ページ
www.journeesduvin.com
で。
10月25日、ヴーヴ・クリコ プレゼンツ 『Yelloween』@ペニンシュラ東京。
さすが名門かつ最大手のシャンパーニュメゾンの煌めき。デカダンスと洒脱なセンスが、静かにマッシュアップされた空間。
仮面舞踏会をモチーフに、下世話にならない、いつもと変わらぬパリの遊び心。これもまた、シャンパーニュを楽しむ、シャンパーニュで楽しむ、というシャンパーニュの「SIDE A」。
シャンパーニュという土地で、真摯に寡黙に、厳しく自然とぶどうに挑むというストイックな精神性と、世界中で『飲むパーティアンセム』として花開き、マジックを生み出すのもシャンパーニュの精神性、とはシュワリスタ・ラウンジ開設以来、僕がずーっと言っていることだけれど、やはり「それ」を実感する瞬間。
台風が迫る中、雨と風の都心の夜景を見下ろしながらの、22時。贅沢にもグラスに注ぎ続けられるクリコ イエローラベル。おそらく1本分は軽く超えたあたりにDJがかけたのは、2013年のブライトスターAVICIIの「WAKE ME UP」。心と身体を揺さぶられる、人生賛歌のパーティーアンセム。
So wake me up when it's all over
When I'm wiser and I'm older
All this time I was finding myself
And I didn't know I was lost
Didn't know I was lost
I didn't know I was lost
I didn't know I was lost
パーティがあけて、朝になって、シャンパーニュのマジックから、自分に戻った瞬間。夢から覚めるわけではなくて、また、次の夢の時間へ。
シャンパーニュと向き合って何かを教えてもらう時間と、シャンパーニュと寄り添っていろいろなことを忘れることで、自分を取り戻す時間。どちらも、やっぱりシャンパーニュ・マジック。いつもよりヴォリュームをちょっとあげて、ちょっとだけいつもより遠慮という文字をはずす。煌びやかな中に身をおいて、ちょっとだけ、いつもより背筋を伸ばして胸を張って、心地よく自分を底上げしてみたりする。
こんな夜、やはり僕の選択は、ヴーヴ・クリコのような、世界をキラキラさせてきた大手メゾンの底力。
9月最終土曜日、トワイライトタイムから、話題のニューヨーク州ワインに出会う会を開催しました。
オバマ大統領の就任セレモニーに選ばれたワイナリー、2013年ニューヨーク州ワイナリーオブジイヤー…そうした肩書も素晴らしいのですが、そんな肩書が不要なほど、見事に心に染み入るワインの連続。
シャンパーニュ以外でもっともシャンパーニュらしい…とシャンパーニュ専門WEBマガジン編集長が吐息と共に洩らしたウォルファーエステートのブラン・ド・ブランからスタートし、キレが優しい、染み渡るドライ・リースリング2種に、清らかでもへこたれないロゼ、さらにまさに『プレスティージュ・カルト』、ピノノワールの常識を疑いたくなる凄みを纏った静寂なるヴァイオレンス『ハート&ハンズ』に、骨太ながら愛すべきチャーミングさをもつカベルネフランへ…
これらニューヨーク州ワインを、ニューヨークにちなんだアーティスト、曲をきき、ロゼからはビリー・ジョエルのシェイスタジアムライヴを見ながら…。心地よいサウンドと心地よいワイン。でもどこか幸せな狂気と快活な円熟を纏うビリーとワインの共通点。決して安いワインではありませんが、心地よいとはまた違う、体に沁み渡る優しく、美しい「戦慄」。大げさな言葉のようですが、実に衝撃的なワインたちでした。
ワインで世界旅行シリーズ、キプロスの白、レバノンのロゼ、アルゼンチン・メンドーサのマルベックなどに続いて、ここにも、どうしても伝えたいワインがありました。
ウォルファーエステート
スパークリングブリュット ブラン・ド・ブラン 2008
ロゼ 2012
アンソニーロード
ドライ・リースリング 2011
フォックスラン
ドライ・リースリング 2012
ハート&ハンズ
バレル・リザーブ ピノ・ノワール 2010
ラヴィーンズ
カベルネ・フラン 2011
ピーロートさん主催、ドメーヌ・ドゥ・バロナーク支配人
バロン・フィリップ・ロートシルト海外ジョイント第3章
先日はラフィットをやめてラングドックに新天地を求めた
バロネス・フィリピーヌ・ドゥ・ロートシルトと彼女の二
シャトー・ムートン・ロートシルト、オーパス・ワン、ア
セパージュ二も現れる地中海のぶどうとその豊かさ、ボル
モンティゴさんのお人柄にも感銘。「名門」を鼻にかけな
この日はその他にも豪華ラインアップ。
ムートン07,08
シャサーニュ・モンラッシェ、サンテミリオン、コート・
日本のものづくりへの探求心と実現力、さらにいえば、そ
「日本の、新しい、クリアな、ラム。」
滋賀・音羽山系の長石に磨かれた心まで優しくなれそうな
ラムメーカーの竹内さん、たった一人の蒸留所。蒸留から
というラム自体のレビューは後程として、竹内さんの「狂
情熱と狂気。しかし、竹内さんの語り口と、このラムはど
ひとつかみの大ぶりの氷のロックアイスをグラスに入れる
まだ3年目、一人での作業。理想とするものにはまだ道の
ナパで仕入れたフレンチ&アメリカンオークから、ゴール
Craftsman ship to watch to JAPANEES domestic RUM
http://www.nine-leaves.com/
10月9日 ニュージーランドの「ライジングスター」イ
ビジネス面でも目を見張るわけだけれども、そのあたりは
(ティムさん「僕らのスタートは最悪だった。なにせ08
ソーヴィニヨン・ブランはマールボロ、ピノ・ノワールは
ソーヴィニヨン・ブラン・スパークリングは、高原の夏、
注目はピノ・グリ、そして、ロゼ。
どちらもクリーン&グリーンな表現はそのままに、心地よ
ぶどうに当たる日照時間をコントロールし、糖度とアルコ
ティムさんの人柄もあいまって、ビジネスライクな快進撃
気軽なダイニングに、このラインアップがある、そういう