Nice cost performance of orthodox Loire

昨夜はロワールの正調・正統派メゾン、ラングロワ・シャトー(LANGLOIS CHATEAU OF Loire)の生産者来日懇親会。1885年ソミュール地区で創業。1973年からボランジェグループ入り。白、赤はその歴史を感じさせる、ちゃんとした制服、寄宿舎のある学校育ちというような、面白みよりも安心感。酸が出過ぎるわけではなく、物足りないわけでもなく、ロワールらしいタイトではないのだけれど派手さのない清楚な女子であり、チャラさのない好青年の趣。

 

ハイライトはやはりクレマン・ド・ロワール。「カベルネフランが素晴らしい影響を与えているんだよ」と情熱的に語られるように、どこかそのカベルネフランが、落ち着いた正統の中で、確かな野心と情熱をもった好青年に。定番はシュナン・ブラン60%、シャルドネ20%、カベルネ・フラン20%。抜群のバランス感。「ウェディングのアペリティフに最適だと思う」というコメントを聞きつつ、キレイなビストロ的立ち飲みスペースで、仕事帰りに同僚たちとこれ1本、なんて場面もいいかも、とも思う。出色は同じ定番の36か月熟成のレゼルヴ。繊細な泡ざわりと長く静かな柑橘の余韻。ここではないどこかの田舎の風景の中、一人で蝉しぐれの中…これは日本の夏の風景。嬌声もいらず、人の静寂、自然の喧噪の中でゆっくり笑顔で楽しみたい1本。カベルネ・フラン100%のロゼは「夏、プールサイド」という笑顔のプレゼンテーションに全面同意。フラッグシップの「カドリーユ」はロワールの儚げな美しさをそのままに、重厚。そのまま育った清楚女子と好男子の晩年。波乱のないふつーの暮らしの幸せな人生だったというふりかえりを夕暮れのテラスで。シュナンブラン、シャルドネ、カベルネ・フランにカベルネ・ソーヴィニヨン。このカベルネソーヴィニヨンをピノ・ノワールに変更。やはりこの初老の夫婦にはそちらの方が似合うのかも…。

 

いずれもデイリーレンジの素晴らしいコストパフォーマンス。薫風から初夏の日本でもおススメだ。


“mono-zukuri” the pride of Japan #1

うれしいニュースが送られてきた。
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本州唯一の国産ラム酒「ナインリーヴズ」

RHUM FEST PARIS 2014にて

日本のラム酒として初のイノベーション賞を獲得

 

自動車部品製造の竹廣株式会社(名古屋市中区)が2013年に立ち上げた国産ラム酒ブランド

「NINE LEAVES」(以下:ナインリーヴズ)のNINE LEAVES CLEAR(ナインリーヴズ クリア)が、

RHUM FEST PARIS 2014にて今年度の革新的な商品に贈られる「Innovation de L’année」を獲得しました。

同大会における日本のラム酒の受賞は初となります。

詳細につきましては添付のプレスリリースをご一読いただけましたら幸いです。

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ナインリーヴズは、以前、このブログでも紹介したが、
「国産ラムに見るものづくりの姿」

改めて書くと、自動車部品製造会社として、まだ世界のトヨタではなく、零細ベンチャーだった豊田、つまり自動車部品なんてものがこの先どうなるかなどわからない時代から足並みをそろえて歩んできたものづくりの会社。その血筋を引く竹内さんが、本州唯一の国産ラムに挑戦。たったひとりで蒸留からボトルのラベル貼りまでを行う。それがバックグラウンドのストーリー。
昨年、クリアが初リリースされたが、試行錯誤、伝統ある稼業を継ぐ者としての反発や重圧を美しく、澄みやかに、なおかつにじみ出るエネルギーを内包した、まさに竹内さん、そのもの、等身大。作り手の意地と思いと幸せが伝わるすばらしい作品だと感じた。
いわば日本のものづくりの今を象徴するような作品。世界的な評価というものが必要か、必要ではないのか?権威ある賞の獲得というものが今必要なのか、必要ではないのか?その議論はあるかもしれないけれども、少なくとも、日本のイノベータ―でありものづくりのプロの本気、卓越をいろいろな場で知ってもらうことは素晴らしいことだと思う。ましてや、ラム。トロピカルというストーリーではないラムという新機軸、挑戦が行われ、それがまた素晴らしいものであることが周知されるというのは、一酒ファンとしても幸せだ。
ただでさえ入手困難なアイテムだけに、ファンとしてはこの賞でさらに注目が集まることは痛しかゆしの部分もあるのだけれど、希少価値というファクターではなく、一部の酒好きだけではなく多くの方に興味を持って飲んでいただくという上でも、とてもうれしいニュース。

そしてナインリーヴズの挑戦は続く。
クリアに続いて、樽熟成タイプの2アイテムが登場。アメリカンオークとフレンチオーク。それぞれの特徴を生かしたラム。

アメリカンオークは、クリアのもつ澄み渡るような静けさと美しさをベースにしながらも底抜けに明るい。その明るさはトロピカルなリゾートではなく、どこまでも都会的。オトナのパーティアイテムとしても、朗報をシェアしながらのバーでのはじめの一杯にもいい。プレゼン勝った!そんな夜の幕開けはシャンパーニュMUMMで、ひとしきり喜びを分かち合た後、あいつと一緒にバーでしみじみ、うれしさをこのラムでスタート。そんなシーンも思い浮かぶ。
フレンチオークは一転エレガントで、重くて強い。ボルドーを思い起こすような重厚感がカクテルドレスを纏っている感。パリの歴史あるホテルのバーで…、オーセンティックなバーで。いずれも素敵に年齢を重ねた女性とゆっくり楽しみたい…などというちょっとした妄想。

遊び心と野心と責任感から生まれた新アイテム。ナインリーヴズの樽熟タイプにも、どこか日本のものづくりスピリッツがあるようにも感じるのだ。


Kingdom of holy cat

トルコは「猫の聖地」だと聞いた。
野良猫、飼い猫の違いがあまりなくて、住民みんなで猫を大切にシェアする慣習があるのだとか。名前をつけるのも勝手らしく、イスタンブールのマーケットでも、朝、このあたりにいるとこの名前で、昼、あのあたりで昼寝しているとあの名前で、夜、そのあたりで愛のささやきをかわしているときはその名前になったり。現在では決して敬虔とはいえないかもしれないけれど、イスラム、オスマンの遺伝子は猫を尊敬と愛情の存在とみているとのことだった。
街の中は、BSやCSや本で見た以上に、とことこ歩く猫たち。人との同居は鳥山明さんあたりのファンタジーを連想させるほど。さすがに、飲食店やモダンなブティックでは度を過ぎれば追い出されるけれど、横丁、マーケットなら店の中で堂々と店番よろしく鎮座。

普段ネコを撮影する習慣などないんだけれど、ローマではローマ人のように、トルコでは猫さんにご挨拶。愛情のあり方、尊敬の持ち方、なにか、トルコの人たちの猫との共生の中に面白いヒントがあるようにも感じた。伝統、歴史、文化。その国のありようはこういうところにも出てくるんだろう。お酒も食事も同様なんだと思う。