INVIVO,"Progress" of New Zealand

10月9日 ニュージーランドの「ライジングスター」インヴィーヴォのティムさんを向かえての来日試飲会。2007年のスタートからわずか6年で、ワールドワイドの快進撃。アジア・パシフィックを中心に、セレブリティ、メディアから町のカジュアルなダイニングまでを星のエチケット(実際はコンパスらしい)で席巻中。

ビジネス面でも目を見張るわけだけれども、そのあたりは、ビジネス記者さんにおまかせするとして、こちらはワインの話。
(ティムさん「僕らのスタートは最悪だった。なにせ08年は最悪の年だっから…」に、へえ、NZでもそういうヴィンテージのセンシティヴなところかがあるんだあ、と思ったら、リーマンショックの話だったw)

ソーヴィニヨン・ブランはマールボロ、ピノ・ノワールはセントラルオタゴ。このあたりはギミックなしにいい場所を選択。欧州でも修行してきたワインメーカー、ティムさんの相棒、ロブさんのワインづくりは、味からの推測で言えば、やはりギミックなしにテロワールを生かして、幅広い人に受け入れられるイージートゥドリンクの方向性。ワールドワイドマーケットで先行するコンペのクラウディベイが、まさにニュージーランドの、クリーン&グリーンで、クリアなクラウドからあふれ出る濃厚な果実味、むせ返るような濃厚さがあるとすれば、こちらは、若さゆえの真っ直ぐさ、ピュアさ。対称な的な個性。

ソーヴィニヨン・ブラン・スパークリングは、高原の夏、秋がいい。のびやかさよりもフィネスとミネラル。余韻よりも口にふくんだときのクリアな酸味が心地よい。得意のソーヴィニヨン・ブランのラインアップは、きれいなハーブ感が優しくタイトに。酸は強いはずなのだけれど、飲みやすく仕上げている感あり。複雑さというよりは、生産者の狙いがそのまま素直に出ている感。濃厚な果実味やハーブ感というマルボロを期待すると少し違う方向性かも。

注目はピノ・グリ、そして、ロゼ。
どちらもクリーン&グリーンな表現はそのままに、心地よいスパイス感が食欲をそそる。中華、鶏のから揚げ、サラミ、時間をかけてローストしたラム、ビーフ。ティムさんおススメはブルーチーズ。試食するとなるほどの組み合わせ。パルミジャーノに赤身のコショウ、ドライトマトみたいな組み合わせもいけそう。

ぶどうに当たる日照時間をコントロールし、糖度とアルコール度数を下げることで作られるカロリーオフワインは、休日のブランチ向け、エッグベネディクトやサンドウィッチには最適。とはいえ、夜や普段飲みには、やはりものたりないが、ニュージーランドでは少しずつ浸透しているカテゴリーらしい。ありかも。

ティムさんの人柄もあいまって、ビジネスライクな快進撃というよりも、今の次代のモードにあったワインを(偶然なのか嗅覚なのかはわからないけれど)、作りだし、それがハマったというかんじなのだろうか。ワイン自体には、衝撃とか驚きとかはないのだけれど、ポジティブな意味で、このワイン自体がもつ快進撃の理由が分かったような気がする。

気軽なダイニングに、このラインアップがある、そういう店。なにか安心感がある気がする。