one on one

 
展開も読めるし、ラストも読める。でも泣く。ガッツポーズをしながら。そして余韻でまたじんわり泣く。そういう映画が昔から好きなんだろう(もちろんゴッドファーザーやら、広島死闘篇やら、ゾンビも好きなんだが)。

そのじんわりが、どことなく切なくて、そのラストのその先、映画ではエンディングロールが流れるその先にはきっと希望だけではなくて。
秋の高い空、雲が無くて澄み切っているからこその、胸にぽっかりなにか穴が開いて。将来への不安もある。だけど精一杯、今を、生きていくしかない…。そういう青春物語が好きだ。

卒業、ガッツポーズはなくて苦くて切なさしかないんだけど、真夜中のカーボーイ、明日に向かって撃て、に、カリフォルニア・ドリーミング。がんばれベアーズも、元気で痛快なラストの先にバターメイカーと少年たちの見えない明日がある。

70年代の名画座とテレビの洋画劇場育ちのフランチャイズのひとつは、やはりこのあたり。建国200周年に沸くアメリカに、雑誌ポパイの西海岸特集。サイモン&ガーファンクルとKISSから始まった洋楽の洗礼。さかのぼった60年代で出会ったアメリカンニューシネマとスペクタクル映画。その中で、たっぷりとあの頃の空気を充満させた青春映画が、心地よく痛かった。

1978年、ロビー・ベンソン脚本・主演、カレッジバスケットボールを舞台にした、青春の甘さ、青さ、痛さ、つまりは成長というやつが、ヒリヒリと詰まって、最後は一点の曇りのない青空の旅立ちへと続く、佳作「ワン・オン・ワン」。
フォークロックデュオ「シールズ&クロフツ」が歌うメロウで爽やかなナンバーも見事。このころの青春映画と音楽は一心同体(シールズの弟はイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーのイングランド・ダン)。

この映画こそが、どうやら、映画と音楽と人生の、自分のど真ん中
つまりはまだ、成長途上で、いつまでも甘さと青さを引きずって、明日の自分を探しているということなのか。
でも、振り返ってみて、あのころ、恥ずかしさも取っ払って何かに打ち込んで、挫折して、痛くて、でも充実感と、喜びがあったな。そんな、人生のロードムーヴィーのハイライト的一場面が、自分の人生にいくつかあったことは、誇りに思っていいんじゃないかとも思う。

なぜかこの映画をふと思い出して、思わぬ長文になってしまった…