Beaujolais nouveauという祝祭日

熱狂でもなく嘲笑でもなく。ボージョレ・ヌーヴォーは、1年に1度のワインの楽しい祝祭日。ただただ、それでいいんじゃないか。静かにしみじみとでも仲間と楽しくでも、パーティイベントに出かけるのもいい。いわゆるワイン愛好家の中でも、ヌーヴォーの日は穏やかではない。嘲笑派と熱狂派とでもいうのだろうか。僕は、そのどちらも肌に合わない。百年に一度とか、近年稀にみるとか、そういうキャッチーな言葉を巡っての論争や嘲笑などどうでもいい。そこに、いつもの生産者が、いつものように、今年も新しいワインを届けてくれる。私はこれが好きなんですという酒屋さんの微笑みを見ることができる。ブドウの収穫が足りない年に、その生産者は、さてどんなワインを作るんだろう?100年に1度と喧伝される年にあの生産者は自分のスタイルを崩さずにおもしろいワインを届けてくれるんだろうか?そんなわくわく感で、11月第3週木曜日を迎える。七草粥でも土用の丑の日でも初詣でもいいし、4年に1度のワールドカップを熱狂と嘲笑で迎える人が、今度は立場を入れ違えてハリーポッターやアニメの新作に対して熱狂や嘲笑の立場を変える。どっちだっていいじゃないか。敬老の日に先達に感謝するように、クリスマスにケーキを買うように、ボージョレ・ヌーヴォーという祝祭日。楽しく迎えようじゃないか。

という僕の気持ちを伝えながら、楽しんでいただきたいな、ということで、今年も、僕のサロン『白金高輪14(キャトルズ)』でささやかなボージョレ・ヌーヴォー会を開いた。ラインアップは以下の通り。

ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー (コノスル ピノ・ノワール 2013)
バラック・ド・ラ・ペリエール ボジョレー ヌーヴォー
バラック・ド・ラ・ペリエール ボジョレー・ヴィラージュ ヌーヴォー
ドメーヌ・ドゥ・ラ・マドンヌ ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー
シリル・アロンソ P・U・R ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー
ポール・サパン ボジョレー・ヌーヴォー キュヴェ・トラディション
フィリップ・パカレ ボジョレー・ヴァン・ド・プリムール
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー ルイ・テット キュヴェ サントネール

今回は、ボージョレとボージョレ・ヌーヴォーとどう違うの?ヴィラージュってなに?といったことから、ワインメイカーのスタイルによってこれだけヴァリエーションがある、そして和食や豚肉その他気軽なマリアージュの紹介など、そしてなにより僕が思うヌーヴォーとボージョレに対する想いをもって案内させていただいた。
いわゆる王道的なデュブッフとチリのピノ・ノワールの飲み比べ(ブラインド)、同じワインメイカーのボージョレとボージョレ・ヴィラージュの飲み比べから、2つの信頼できる酒屋さんの推薦による4本、最後に、ルイ・テットを心行くまで…
フィリップ・パカレは「来年の今頃このワインを飲んでもいい」のけぞる出来栄え、マドンヌのまろやかなバランス、シリル・アロンソの鮮烈さがチャーミングなアシッド、ポール・サパンの思わず「あ、旨い」というシンプルな感激…。

あんなもの、でも、絶対飲むべき、でもない、もっとリラックスした気持ちで。ワインを口にしたときに口にする感想以外は、テーブルで華が咲くのはお互いの今の話だったり、新しい交流だったり。ボージョレ・ヌーヴォーはプロでもない限りは眉間にシワなんか寄せて飲んじゃだめだ。明るい笑顔、楽しい話題、幸せなテーブルが生まれる、年に1度のワインの祝祭日。繰り返して書くけれど、ただただ、そんな日でいい。


今回は2つのメディアでボージョレ・ヌーヴォーについて紹介させていただいた。あわせてご覧ください。

レッツエンジョイ東京・ボジョレー・ヌーボー特集
ワインの目利きに聞くおすすめヌーボー
http://season.enjoytokyo.jp/beaujolais_nouveau/recommend/index.html
3軒の酒屋・ワインショップの取材。アサヒヤワインセラー(江古田)さん、青山三河屋川島商店(表参道)さんのおすすめを今回のヌーヴォー会で提供。


ウーマンタイプ
「今年は美味しいね」なんて言ってない?知らなきゃ恥ずかしいボージョレ・ヌーヴォーの基礎知識

http://womantype.jp/mag/archives/46987
こちらでワインをかじったからこそやらかしがちな間違いについてコメント。もちろん知識のない方、これから飲んでみたいという方ははずかしいなんておもわず自由に飲んでいただければ!